個展『ぬか床』うえむらインタビュー(1/3)

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tumblrから火が付き、CDのジャケットなど活躍の場を急速に広げているイラストレーター・うえむら。
そのうえむらの初個展『ぬか床』が6月14日から29日にかけて大阪中津シカクで行われた。
Creators at Workでは、うえむらの作風のルーツや、なるほどと思わせるような独特のこだわりポイントを聞いた。

来歴

-うえむらさんの来歴を教えてください。

うえむら(以下、う):来歴。寅さんみたいな口上があるわけでもないんですが、ちゃんと絵を描きはじめたのは大学入ってからです。高校の頃の友達と一緒に最初コミティアに出て、なんかたのしそうだなと思ってイベントに出始めたのが最初ですね。それまではラクガキとかが好きで絵とかは描いてたんですけど、ちゃんとは大学から。で、大学卒業してから、絵を描いたりしながら生活したいなと思って、東京に来て今に至るという感じですね。

-ちゃんと描き始めるより、イベントに出るのが先だったんですね。

う:そうですね。というか未だにちゃんと描きはじめていないのかも、という気持ちが僕の中ではもやーっとあって。でも、たまにお金もらって描いたりはするんで、ちゃんとしてると思うことにはしてます。

-最初イベントに出たときって何を出されたんですか。

う:普通にマンガを出しました。4人か5人くらいで一緒に出たんですけど、マンガをちょっとずつ、一人8ページぐらいで一冊の本をつくりました。そのときは思い出作りとしてイベントに参加しようみたいな感じだった。ゆるくて、売れなくて当然みたいな感じ。イベントが終わった後はこの本はみんなで燃やしに行こうという話をしていて。

-え、燃やしちゃったんですか。

う:燃やしてはないですけど、みんなもう持ってないです。みんな処分しました。

-勿体ないですね。

う:いやもう、見るに堪えない、とんでもないものですから。

-大学の頃ということは、もう5,6年前の話ですね。

う:そうですね。でも、大学卒業して1年間は焼肉屋で働いていて、その期間は全くコミティアには出てません。毎日肉を切りながら、東京に出てくるお金を貯めようと思ってやってました。週六で、年始しか連休が無い仕事だったんで、絵もこの時期あんまり描かなかったかなあ。

コマだけ描いて、あとから中身を考える。

-「センチメンタルまさ子」。あれはかなり以前から続けていますよね。

う:そうですね。あれこそ気が向いたときにやってるので。最初の方はわりとコンスタントに更新してたんだと思うんですけど、今はもう全然更新していません。ほんとにヒマなときにやるぐらいなんで。

-あれはいつから描き始めたんですか。

う:あれも、たぶんコミティアに出始めたくらいだったんですよね。

-途中で絵柄とかめっちゃ変わってるじゃないですか。うえむらさんの画風の変化が感じられて面白いですよ。

う:絵柄とかはそんなに深く考えてないから、ひょいひょい変わるんですよ。

-最初からコマ割りとかも、素人っぽくないです。

う:コマとかは、遊んでますよね。僕はよくやるんですけど、コマだけ描いて、あとから中身を考える。そういったよく分かんないことをしているので、よく分かんないものができてるんですよね。

-コマ割りが先に来るんですか?

う:僕のマンガはお話が無いようなもので、わりとセリフだけというかそんな感じなんで。絵を描き始めるときとかに、枠が無いと、そもそも始められないという感じがありません?描き始めないといけない中で、そもそも枠をとってやらないと、何をどこにどう描いていいのか全く分からなくて。普通の人は、こういう構図で描きたいってなって、それだったら横長のコマがいい、とか、キャラクターのアップが出てきて、胸のあたりまで写るから、縦長のコマにするっていう感じでコマ割りを決めると思うんですけど、僕はそもそもそのビジョンすら出てこなくて。とりあえずコマ描いて、たまに、フキダシも描いちゃったりするんですけど、そこから考える感じじゃないと全然出てこなくて。だから、あまり深く考えずに、コマ割りだけ他のマンガからぺろんと拝借してきちゃった方がスムーズに事が運ぶときもあります。

-あんまり聞かないですねそういう人。他にそういう人って聞いたことあります?

う:いやー、あんまり。僕の中でコマ割りが一番難しいと思ってて、考えてもしょうがないのでそういうことしてる。コマ割りで悩んでる時間が勿体ないから、取っちゃえ、みたいな。

インタビュー中編:うえむら個展『ぬか床』インタビュー(2/3)へ続く

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