個展『ぬか床』うえむらインタビュー(3/3)


近年活躍の場を急速に広げているイラストレーター・うえむら。
そのうえむらの個展『ぬか床』が6月14日から29日にかけて大阪中津シカクで行われた。
インタビュー後編では、個展の背景や擬音に対する想いを聞いた。

インタビュー前編:個展『ぬか床』うえむらインタビュー(1/3)
インタビュー中編:個展『ぬか床』うえむらインタビュー(2/3)

キャラクターが浮いて見えるか

-今回の展示はどういった経緯で決まったんですか。

う:たぶんシカクの方がtumblrを見てくれて、メールをくれたのだと思います。シカクでは以前に西村ツチカさんの展示をしてたじゃないですか。ですから、すんごいテンション上がって、「やります!」とう感じで決まりました。個展というか展示自体が初めてだったんですが、大阪まで飛んできましたね。

-個展の関連イベントとしてトークショーもされましたが、あのように人前で話すことってありますか?

う:いやあ、無いですね。大勢の前で話すのは学芸会以来じゃないですか。緊張しますよね、やっぱり。

-今回の展示では、人物やフキダシを切り抜き、ちょっと浮き上がった位置で背景に貼り合わせるという形でした。あれはどういった経緯であのようになったのですか。

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※人物とフキダシがわずかに浮いている

う:今回展示している絵は、全て過去にtumblrに上げた絵なんです。要するに、webで無料で見られる画像をわざわざプリントアウトして展示してるだけなので、ただプリントしただけだったらつまらないかなと思ったんです。だから、同じものを2枚刷って、ちょきちょきハサミで切って、ちょっと浮く感じに重ねて貼り合わせるっていうのをやりました。もともと、絵を描くときはキャラクターが浮いて見えるかということを気にしています。それの延長として、モノとして展示するならそうやって浮き出させたほうがたのしい。あと、雑誌の付録みたいなワクワク感はあるかな。

-ちょっとお得に見えますよね。実際やってみた感想として、いい感じになりましたか?

う:うーん、相性はあるかな。絵によってはいい感じじゃないのもあるけど、だいたいいい感じになったかな。でも、ハサミで切るのは難しかったです。

-(笑)

う:でも図工みたいでたのしいですよ。普段はパソコンの画面としか向き合っていないので。だから、ちょきちょきしたり、ぺたぺたしたり、というのはおもしろかったですね。

おもしろい擬音って、いいじゃないですか。

-昨日トークショーがあって、展示にも沢山人が来られましたけど、感想はどうですか。

う:感想ですか。まあでも、嬉しいですね。あとは、緊張しました。サイン書くのもちょっと恥ずかしかったです。

-7月にも展示されるんですよね。

う:そうですね。日暮里でやります。それは新しく描くのが多くなるんですけど、まだほとんど手をつけてない。

-(笑)大丈夫なんですか。あと半月くらいじゃないですか。

う:そうですよね。まあどうにかします。なんとかなります。

-筆は早いですよね。

う:まあそんなに丁寧なものをつくっていないんで、早いっちゃ早いですね。省エネは得意ですよ。絵の背景に写真を使うのも省エネルギーでやってる。それに、擬音とかはコピペしますね。デジタルの強みですよ。

-擬音は予め描いてストックしておくんですか。

う:ストックはしないですね。繰り返すのが好きで、同じ絵の中で同じ擬音を繰り返すときにはコピペですね。擬音って同じものが2つくらい描いてあったほうが、いいのかなと思うんです。

-毎回新しく描いてるよりもそっちの方が雰囲気ありますよね。

う:擬音はキチッとしてる方が僕は好きで。だから、あんまり、例えば筆ペンとかですごい勢いのある感じで描いたような擬音てよくあるじゃないですか。ああいうのは好きじゃなくて、もうちょっと、それこそ手塚系の、文字!とていう感じの方が好き。しかもカクカクしたやつで。まあ個人的な好みなんですけどね。

-ギャートルズの「ギャー」くらいだとやりすぎですか。

う:いや、あれぐらいの方がいい。その、筆ペンの勢いで描いたバトルマンガ系の擬音は、文字じゃなくて効果線寄りだと思うんですよ。それよりも僕は、読んでもらい文字として、擬音は使いたい。やっぱり、おもしろい擬音って、いいじゃないですか。口に出したいじゃないですか。やっぱり音だから。不思議な音は不思議な音として読んでもらいたい。カッコいい効果とか絵的なものじゃなくて、読める音として、たのしい方がいいなと思いますね。

気持ちは常にフラットに持っておきたい

-では最後の質問です。今後どうするかは考えていますか。

う:あんまり考えてないですね。

-僕もいろんな人にインタビューしてますけど、今のまま続けていくみたいなのが多いですね。

う:だいたいそうですよね。あんまり先のことを考える人って、なんか損してる気がしませんか。俺はこういう人生設計で最終的にはこうなるぞ、みたいな志が高い系の感じって、そうじゃなかったときの落ち具合が酷いじゃないですか。僕は貯金するのが好きじゃなくて、それと同じだと思うんですけど、あんまり先のことを考えすぎないくらいが人間幸せに生きていられるなっていう気がしています。何にも期待しない状態の方が、すごいサプライズ的にいいことが舞い込んできたときにものすごくハッピーになる。だから気持ちは常にフラットに持っておきたいですよね。

(インタビュアー:じょいとも 6月16日 中津芸術文化村ピエロハーバーにて)

うえむら | Uemura

1989年生まれ。イラストレーター。
tumblrから人気に火が付く。大阪で行われた初個展『ぬか床』に続き、東京でも『オルタナティブ日暮里』を開催。
近作は上坂すみれ『実録・2.11 第一回革ブロ総決起集会』ジャケットイラスト、サテライトヤング『フェイク・メモリー』ジャケットイラストなど。

HP:http://megusurigirl.web.fc2.com
tumblr:http://uemulagirls.tumblr.com

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