個展『CAVE & WILDERNESS』鳥彦インタビュー(1/2)

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象徴的なモチーフと画面作りで京都の画壇に確かな存在感を示す画家・鳥彦
彼の個展『CAVE & WILDERNESS ~あるいは港を過ぎ去った男達~』が6月10~22日に京都寺町にあるGallery知で行われた。
Creators at Workでは、その制作過程や作家人生に対する考え方を聞いた。

3ヶ月ぐらいで院試対策して、大学院に入った

-鳥彦さんの来歴を教えてください。

鳥彦(以下、鳥):2010年あたりが、初めて個展やった年かな。そのときはシャーペンで絵を描いてたんですけど、あんまり先が見えねえなと思ったんですよ。シャーペンで絵を描いていたら、ものすごい技術力を示さない限りは、アートっぽい感じで食っていくのは無理じゃないかなと。それで、今までやってきたを活かしつつできることがないかなといろんな技法書とか読んでて、版画でメゾチントって技法があるんだと知った。それからそのまま、よーし版画科の大学院の試験受けるぞ、と3ヶ月ぐらいで院試対策して、大学院に入った。それが2011年かな。それで版画を始めて、展示を大体一年に一回ペースでやってますね。2010年一番最初にやった個展が、京都で一つ。同じ年に東京でちょっと場所借りて一回やって。その後は、京都で版画の個展を2,3回したはず。間にアートライブっていう、京都のデザフェスみたいなイベントがあるんですけど、そこに出たことがあるぐらいかな。昔コミティアとデザインフェスタに友達3,4人とちょろっと出たことがあった。そんな感じで、あんまり覚えてないんですけど、ふらふら作品作ってて展示してますね。

-コミティアやデザフェスに出ていたのは、シャーペンで描いてた頃ですか。

鳥:いや、それより前。自分でも何出したか覚えてないもん。

-(笑)

鳥:いや、ほんとにね。作品もそうなんですけど、忘れていってるんですよどんどん、いろんなもん。自分のWebサイトの活動歴には、いつにどこどこで個展をやった、アートフェアに出た、というのは全然書いてないんですよね。自分でも色々忘れていて、細かいこと覚えてないんですね。

展示に使った丸テーブル、照明、どんどん物が増えていくんですよ

-2年程前に学校のギャラリーで展示してましたよね。インスタレーションで作品出されてました。

鳥:あー、そうか。そのときはえーっとね。特別なゼミみたいなものがあって、その一環として、大学併設のギャラリーで展示しようかとなりました。版画使って本を完全に手で制作するというのをやって、机を展示のために買って。やろうと思ってたら、ゼミでは先生だった職員さんが予算でカーペットも買ってくれました。そんな予算使わせてもらって、けっこういい展示になりましたね。

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鳥彦 『DD』 インスタレーション 2012

-あの部屋だけ雰囲気違いましたね。

鳥:写真を見せても作品の概要が見えないけど、雰囲気は分かると思います。あのとき、あの部屋に使っていた電灯とか、照明。あれは使い回して去年の個展でも使っていたもので、今はワシの部屋の照明になってます。机も今ワシの机になってる。個展とかやる度に、額もそうですけど、机、展示に使った丸テーブル、照明、どんどん物が増えていくんですよ。しょうがないから、日常で使っています。

-めちゃくちゃ額とかこだわりますよね。

鳥:そうそう、押し入れが埋まって困ってる。誰か買ってくれないかな。

-いつも作品に合わせて額を買ってて。額はどこで買ってるんですか

鳥:額屋さんに行って、店員さんに、すいませーん、ちょっといいですか、って言って、これとこれとこれと、サイズがあーでこーで、こんな感じのがありますか?とか、これの色違いありますか?とか、めっちゃ迷惑かけながら買います。額のイメージみたいなものをある程度考えて持っていくようにはしたんですけど、前回の個展のときは、けっこう粘って、店員さんをずっと釘付けにしてしまって、申し訳ないなーと思いながら、閉店間際までいましたね。

卒業後に何もできないじゃん

-画材は結構変わったりしていますか?

鳥:そうですね。元々はグラフギアってシャーペンで書いてて。0.3mmの。シャー芯はあんまり気にしてなかったんですけど。購買部で売ってるシャー芯使ったらちょうど良かったし。こだわってる人ってペンを何種類も用意したり、シャー芯も何Bから何Hまで揃えて描き分けるとかやってはるんです。ワシは面倒臭がりで、一本でいいじゃんと思ってやってたんですけど、そこまでやらないとクオリティ上げるの無理だなと。あと、シャーペンで写真みたいなものを描く人とかいるじゃないですか。あれはもう、あそこまでやらないとダメだし、やったとしてもしてる人たくさんいるし、あと、個人的には写真撮れよと思っちゃうんですよ。そこまでやるんだったら。それ写真で表現した方がいいんじゃないかなーと思ったり、とか。ワシもシャーペンで網かけみたいなことばかりやってたんで、それに近い表現、グラデーションでできるってなったのが、銅版画のメゾチントという技法だったんです。
普通は銅版画は、機材がいろいろいるんですよ。銅の板を腐食させたりとか。すると、溶剤使ったりするような環境を整えなきゃ行けなかったり、廃棄する量が法律で決まったりしていて、個人の手に負えない。工房を構えてる人に場所を借りに行くか、億万長者になって自分で用意するかしかなくて。大学とか大学院にいる間は大学から貸してもらえますけど、卒業後に何もできないじゃんって思ってた。なんで、そういうのには手を出さないで、手作業だけでできるのがメゾチントだった。
先生方がちょこっと教えてくれたりもするんですけど、作家目指しますって言って大学で制作してる人とかは、京都にはこれこれここらへんに工房とかがあって、いくらぐらい払ったりとか、誰に話を通したら使わせてもらえるよとかいう情報を踏まえて卒業後の方向性とか考えて行かないと、キツいんじゃないかなーと思いますね。

後編に続く。

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