2016年3月12日、中野にて美術勉強会「土曜会」が行われた。
土曜会はCreators at Work記者であり本記事の執筆者でもあるjoytomoによって主催され、im9の提案により、ステファン・マラルメの「火曜会」に因んで「土曜会」と名付けられた。
本記事では、第二回土曜会に行われた講義内容について掲載する。
各講義の講師は下記の通りであり、生徒合わせて30名程の来場者が集まった。
タイムスケジュール
15:00 オープニング
15:20 [講義1] 国内アートアワード10選 / 講師:じょいとも
16:00 [講義2] 日本・語・ラップ / 講師:ナルコ
16:40 [講義3] リーマンショック以降のアートの戦場 / 講師:カワムラ
17:20 [講義4] 第四反芸術期について / 講師:アイスカハラ
18:00 [講義5]イケてる絵画の基礎構造 / 講師:山田はじめ
18:30 クロージング後、解散
講義1:国内アートアワード10選
講義1では、joytomoが選出した国内のアートアワード10賞を紹介した。
受賞歴は美術活動をする上で非常に便利なものである。しかし、玉石混交、有象無象の賞であふれ、どれに応募すれば良いか、自分のキャリアに合っているかは判別し難い状況にある。そこで、各アートアワードの特徴や過去の受賞者の傾向を調査し、10選にまとめた。
なお、講義開始前に「アートアワードに応募したことがあるか?」と会場で質問をしたところ、30人ほどの中でわずか数名しか手が上がらなかった。経歴がなくともネットを通じて作品紹介ができる現代において、アートアワードの存在自体が如何なる役割を取ることになるのか、今後も迫っていきたい。
みそにこみおでんさんに動画を撮影いただいた。
講義2: 日本・語・ラップ
講義2では、ナルコによる日本語ラップについての講義が行われた。
ナルコ/成子はユニークな映像作品で知られ、過去にカオス*ラウンジの「キャラクラッシュ!(2014東京)」やDJもしもし企画「うるさい(2015東京)」などに参加するなど精力的な活動を続けている。本講義では、ナルコが近年行ってきた日本語ラップの歴史的潮流を豊富な資料から考察し、現代文化史への接続が行われた。
なお、本講義は来場者アンケートでもっとも多くの得票数を集めている。
講義3: リーマンショック以降のアートの戦場
講義3は第一回の土曜会に引き続き、カワムラがリーマンショック以降を起点とした現代アート論を展開した。
第一回の講義では村上隆を主人公に、リーマンショック前後の彼の活動を追っていったが、今回それを世界規模に広げ、ヨーロッパやアメリカを中心とした国際的なアートマーケットの変化について解説が行われた。ぜひ動画で見てほしい。
なおカワムラは、アートコレクター島袋八起氏が主催するロジカル・アート・スクール生でもある。
みそにこみおでんさんに動画を撮影いただいた。
講義4: 第四反芸術期について
4番目はアイスカハラによる講義である。
本講義ではカオス*ラウンジやパープルームなど先端の若手活動体の制作や発言を考察し、演劇論との接続を行った。
※講義資料編集中
講義5: イケてる絵画の基礎構造
最後は山田はじめによる講義である。
山田はコンセプチュアルでありながらジョークの効いた作品を制作するユニークな作家である。今回の講義では、彼自身は「頭の悪そうなタイトル」と言いながらも、来場者の誰も聞き入ってしまう精緻な抽象絵画を展開。著名作家の作品に対する視座をパラメータに分解、マトリクスを構築していくスタイルで、それらの美術作品が「なぜイケてるのか」を論理的に紹介され、最後にその理論を使って山田自身が制作した作品を紹介するなど、理論と実践が組み合わさった、必聴とも言える講義となった。
みそにこみおでんさんに動画を撮影いただいた。
終わりに
最後にじょいともが締めの挨拶を行った。みそにこみおでんさんに動画を撮影いただいた。
次回予告
次回の第三回土曜会は5月7日(土)にARTnSHELTERにて実施します。
じょいとも主催の展示「Creative Adventure」に合わせ、スペシャルな企画を予定!
詳報をお待ちください。